愛着障害を乗り越えていくためには、第三者のかかわりが不可欠だ。その第三者が、親がこれまでにしてくれなかったことを、一時的に、場合によっては数年単位、一生つきあうつもりで肩代わりすることが求められる。
そうして、傷ついた愛着を少しずつ修復し、安定型の愛着を持てるようになるのだ。
■安全基地という概念
そして、その第3者、特に相手のパートナーがとるべき役割として重要なのが、安全基地(Secure Base)という概念だ。
安全基地とは、いざとなったら頼ることができ、守ってもらえる居場所だ。そして、外の世界を探索するためのベースキャンプでもある。
安全基地(Secure Base)は帰りたくなったら戻れる場所だが、いつもそこに縛られる必要はない。良い安全基地になるためには、本人自身の主体性が尊重され、彼らの求めや必要などにこたえるというスタンスが基本なのである。
安全基地は彼らが傷つくことを守り抜くためのものではない。
むしろ、安全基地(Secure Base)は、本人が望めば、傷つく可能性があっても自由にさせ、傷つき戻ったときに受容するという態度である。あくまでも、彼ら自身の主体性を尊重するということだ。
安全基地が持てない障害といえる愛着障害を克服するためには安全基地がぜひとも必要なのだ。
■絶え間ない愛情を注ぐこと
幸いにも、安定した愛着の持ち主に出会い、変わらぬ関心と愛情を注ぎ続けられた人は、徐々に愛着の傷が修復される。愛着障害を克服する最大のポイントは、安定した愛着により、変わらない愛情を注ぎ続けられるということなのだ。
支える側はこれまで述べたことを意識して向き合うこと。
■よい安全基地の条件
よい安全基地の条件は4つある。①安全感の保証、②感受性、③応答性、④安定性である。支える側は、とにかく相手が安心を感じられる場所でいよう。そして、相手の心の機微をよみとり、求められたらすぐに手を差し伸べられるようにしよう。そして、最後に、傷が癒えるまで安定的に支え続けよう。
この数日間、愛着障害を考えてきました。おそらく、結婚生活、仕事、友人との関係という人を取り巻く3大要素の中で、この問題は大いにかかわっていると思います。その問題は、そうたやすくは修復できない。そして、その原因の発端は生後、1年半のうちに形成されるもの。引き続き注目していこう。
思想を体現する。