2015年7月12日日曜日

愛着障害とACと人間関係。『ライフ・レッスン』人間関係のレッスン(3)

親から与えられる影響は想像を超えるほどにおおきい。そんな感覚を強くしています。
最近起きた川崎、名古屋での殺人事件でも、その根底にあるのは愛着障害やAC(アダルトチルドレン)があるのではないか、と取り上げられていました。

愛情に恵まれてこなかった人は、「愛とはしょせん条件つき。何か相手にメリットがないと得られないもの。あるいは、自分が我慢しないと得られないもの。」といいます。とはいえ、愛情に恵まれた人は「愛は無償で当然。パートナーや子供に愛を注ぐ(注がれる)のは当たり前だ。」といい、相手に高いレベルの愛情を脅迫してしまいます。

わたしたちは人間関係を、こども時代の目でみたままにかたちづくる。不幸な人間関係にとりかこまれて育ったこどもは、おとなになっても愛や人間関係にたいする態度に否定的な色づけをしてしまうものなのだ。p101

 こうして、子ども時代に植えつけられた愛情はそのまま大人になったときの人間関係に影響をしてきます。わたしは比較的、恵まれた環境で育ったので、愛は与えられて当然であるかのごとく、ときには傲慢にうつる態度をとってしまったりします。それが相手にとっては不快にうつることもあるのです。


わたしたちは自分にこうといかける必要がある。「こども時代の愛のイメージがいまの愛に投影していないか?これがほんとうにもとめている愛なのか?ほんとうにもとめている関係か?」愛を痛ましくも複雑なものとしてみている人は、その理由を探ってみる必要がある。p101-102
愛をもつれた関係だとかんがえている人、愛を虐待だとかんがえている人、愛はよろこばしい分かちあいだとかんがえている人、愛はだれかを誠実にこころにかけることだとおもっている人、それぞれにその理由がある。そのほとんどは、こどものころの愛の経験の反映に理由をもとめることができる。p102 

わたしは、この数か月で「自分が恵まれていた環境にあった」という事実をあらためて確認をしました。わたしが対峙しなければならなかった相手は、「我慢することが愛だ」という価値観で人間関係を見ていたのですから。そこに価値観の相違があったことは間違いなかったのです。

不幸にして、ある人たち……じつはあまりにも多くの人たち…にとって、愛はしばしば支配的であり、操作であり、ときに憎しみである。しかし、不幸な経験によって形成された狂気に、いつまでもとらわれている必要はない。愛を定義しなおし、 望ましい関係をつくりあげることは可能である。ところが残念ながら、そうしようとする人は少ない。愛にたいするかんがえかたを変えようとせずに、なにか魔法のようなことがおこることを期待しながら、不幸な関係を維持している。問題をとり除くかわりに、その問題を共有している相手をとり除こうとする人のように、問題のなかにとどまっている。p102

愛着障害やAC(アダルトチルドレン)の人たちは、このように愛を悲観的なものとしてみてしまいます。でも、愛はもっとあたたかいものであると、その定義を書き直してみてもいいのではないでしょうか。むしろ、あなたが受けた「愛」は「歪んだ愛情」だったのかもしれません。「真正な愛」ではなかったかもしれません。「歪んだ」愛情のかたちを後世大事にかかえて生きつづける必要はない、そう考えたいものです。

むずかしい関係ではあるが、家族はときに最高の師であり、その相手から学ぶべきことはたくさんある。なぜなら、友人などのように、自分で選んだ関係ではなく、つながりを容易には断ちきれない関係だからだ。問題から逃げずに、どうしても解決法をみつけなければならないところに追いこまれる。そして、あるがままの相手をただ愛するという解決法をみつけることになるのだ。p98

向きあわざるをえない家族だからこそ、ときに痛ましい関係性がつくられてしまうこともあります。それでも、向きあわざるをえないからこそ、そのままの相手をみつめ、自己をみつめ、新しい関係性を育むこともできる。

人間関係はいつでも自分を考える機会を与えてくれます。

それを、学びにかえるか、めんどうなものと敬遠するかは、自分次第なのでしょうね。


過去記事はこちら↓

『ライフ・レッスン』〜人生に悩むすべての人へ〜

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