2017年2月15日水曜日

やり抜く力を高める方法①

最近、話題のGRIT、やり抜く力に関する書籍が売れていますね。

”やり抜く”というタイトルを見ると、また、ブラックな書籍か、なんて声もちらほら聞こえてくるのですが、正真正銘の心理学の良書です。

やり抜くためのノウハウを教えるものではなく、むしろ自分の心に正直に、情熱や目的をもって働くための、非常に内省要素の多い書籍です。

ちょっと、ポイントだけかいつまんでおきたいと思います。




好きなことだからやり抜ける

好きでもないことをやり抜く、といった主張はこの書籍にはまったく出てきません。むしろ、好きだから継続できる、やり抜けるという論旨なんですね。

好きなことだったら、誰かに止められても、続けてしまう。好きなことをしていたら、時間が過ぎるのがはやい、などなど。おそらく、皆さんも経験をしたことがあるのではないでしょうか。

GRITの書籍もいたってシンプルな結論なんです。好きなことをやっている人は”やり抜く力”が高いってね。


好きなことを再発見する

とはいえ、大人になればなるほど、好きだと言えるものが少なくなってくるのは私だけでしょうか?無邪気に夢を語っていた頃が懐かしい。。。

そこで、好きなことや情熱を再発見する必要があります。仕事上キャリア形成支援に関わる私は、多くの人が自分のやりたいことを忘れて過ごしている、と感じます。

好きなことを再発見するには、まずは心の声に耳をすますということから始めなければなりません。そして、過去から現在にかけて、自分が熱中していたことを思い出していくのです。

おそらくこの作業は長い思索を要するでしょう。それだけ、私たちは自分のことを抑圧できるということです。悲しいですけど。

この後が重要なのですが、微かにでも聞こえた心の声があれば、興味のある何かが見つかったら、それを行動に移してみることです。

好きなことは思索に耽るだけでは見つかりません。体感を伴って徐々に身に沁みてくるのです。


好きなことの共通項を見つける

少しずつ行動に移しながら、ぜひ考えてみて欲しいのが、好きなことの共通項を見つけるという作業です。

この共通項を探る作業は、好きなことをさらに洗練することにあたります。自分の情熱のまわりにたたずむ不純物を取り除いていくイメージです。

この作業を通して発見した私の好きなことは、学ぶこと、支援すること、ありのままでいること、の3つでした。

おそらく何のことを言っているのか、他者が具体的に知り得ることはできないと思いますが、それでいいのです。それくらい洗練に洗練を重ねていきます。


GRIT"やり抜く力"に必要なのは、好きなことの他に3つあります。
順次紹介していきます!


人生はなるべくしてなるように展開している


2017年2月14日火曜日

人はフォローアップなしで変われない

人材開発や組織開発に従事していて、最近、特に感じること。それは、人や組織はフォローアップなしでは変われないということだ。

研修サービスやコンサル会社はごまんとあるし、コンサルタントも数え切れないほど存在する。数々の研修やコンサルテーションが実施されているのにも関わらず、目に見えて大きな成果が出せない。または、問題が減っていかない。その理由はフォローアップがないということに尽きるのではないか。


フォローなしで変われるのはごくわずか

企業で行われている研修に参加して、実際に行動を変えることができる人は20%ほど、そんな研究結果がある。

ぼくたちコンサルタントは、受講者の行動が変わるように、よりよいキャリアを歩めるようにと理想を掲げながら頑張るなのだが、実際のところ効果はほとんどない、という悲しい結果になっているのが実情だ(行動が変わらないという意味において)。

研修実施には、それ相応の準備や体力、気力も使うのだが、それでもなかなか行動変容を促すということは難しい、という訳だ。コンサルタントはこの事実を厳粛に受け止める必要があると思う。


なぜ人は変われないのか

では、なぜ行動変容の支援をするのは難しいのだろうか?いろいろな原因が考えられるが、代表的なものに、
  • 思ったよりも時間がかかる
  • 思ったよりも難しい
  • 他にすることがある
  • 思ったような結果が得られない
  • 勝利宣言を早々としてしまう
  • 永久にやつづけなくてはならない
などなどが挙げられる。改善のための行動計画を書いた瞬間に忘れ去ってしまう人もいれば、挑戦してみたものの3日坊主で終わってしまったなど、挫折してしまう人もいるだろう。


コーチやメンターを見つける

このように一人の人が、自らで行動を変えることは至難の業なのだ。そこで、有用なのがコーチやメンターを探し、フォローしてもらうことである。

このコーチやメンターは、直属の上司よりは同僚や友人などがいいと思われる。直属の上司だと、肝心な行動変容計画以外の重要なタスクにも関わる人物なので、どうしても優先順位が下がってしまうからだ。

また、コーチやメンターとの関係性は対等であると望ましい。新しい行動をおこなうためには、それ相応の勇気や自信が必要だ。そのためには、当事者にとって心理的に安全だと思える人がよい。つまり、信頼できる人のことだ。どのような自分をも認めてくれ、新しいチャレンジを心から応援してくれるような存在である。

ぜひ、試してみてほしい。


日々、人の行動に着目して仕事をしている訳なのだが、奥はまだまだ深そうだ。


人生はなるべくしてなるように展開している

2017年2月10日金曜日

生きづらさ脱却のための”フリーチャイルドの解放”とは?

生きづらさを感じる人がこんなにいるのか、と気づかされたのはぼくが仲良くしている後輩との出会いがきっかけだった。当時の彼は、自分の長所をひとつも語ることができなかった。ぼくは彼の長所をいくつも上げることができたのにも関わらず。

ぼくはどちらかというと自分のことが好きで、自己肯定の感覚のある方だと思う。そのため、このときはじめて、人の自分自身に対する見方はこんなにも差があり、自分を肯定的に認められないのだ、ということを知ったのだ。

今日は生きづらさ脱却のための”フリーチャイルドの解放”というキーワードを紹介する。



■フリーチャイルドとは自由な子どもの心!

フリーチャイルド(Free Child)は、アメリカの精神科医であるエリック・バーンが創始したとされるTA心理学(Transactional Analysis Psychology)の、エゴグラムという診断ツールに登場する用語だ。

エゴグラムは、ぼくたちの心の中には”5人家族が住んでいる”という前提にたっており、厳しい父親、優しい母親、大人、自由な子ども、従順な子どもが登場する。そして、この5人家族の登場頻度が人それぞれ違い、その違いが物事の捉え方の多様性を生み出していると考える。

そして、フリーチャイルドは、そう、この”自由な子ども”を指している。
このエゴグラムという診断は無料ツールもたくさんでているので、ぜひ一度試してみてほしい。


■生きづらさの原因である厳しい父親と従順な子ども

結論から言ってしまうと、厳しい父親と従順な子どもの登場頻度が高いと生きづらさを感じてしまうのだが、なぜだろうか。

厳しい父親の登場頻度が高い人の特徴は、”べき論”や”ねば論”が強いことにある。たとえば、「男は●●であら”ねば”ならない」、「仕事は●●す”べき”である」と考える。ある物事を白黒で考える癖があり、良し悪しをつけたがり、たいていの場合、責任感が強く、自分に厳しい方が多い。

そして、従順な子どもの登場頻度が高い人は、自分を抑え、言いたいことを言わず、人に従う傾向がある。例えば、八方美人の人はこれにあてはまる。言いたいことがあってもぐっと我慢する。そして、ストレスを溜めて爆発してしまう。そして、そんな自分が嫌になる。


■自分に縛られるのが厳しい父親、他者に縛られる従順な子ども

生きづらさを感じやすい理由は、何かに縛られているという感覚から生まれます。

厳しい父親は、自分自身の”べき論”、”ねば論”に縛られている。そして、このふたつの”論”は両親から植えつけられたものが多いのだ。本当の自分自身を偽っても、この”ふたつの論”に従って行動しようとする。

逆に、従順な子どもは他者に縛られている。相手が怒らないか、嫌われないか、役に立たないと思われないか、などを気にしながら行動してしまう。もちろん、従順な子どもも親の影響を受けています。従順になることによって、親が喜んでくれたという経験が従順な子どもを強化したと言える。

いづれにしても、何かに縛られているから生きづらさを感じるのだ。


■救世主の自由な子ども

そして、いよいよ登場する自由な子どもは、この縛りという閉塞感を打破してくれる救世主だ。

自分が好きなことを追求する。誰からも干渉されずに行動する。言いたいことを言う。それができるだけで、人生は少なからず変わる。気持ちが晴れ晴れする。

自由に振舞うことで、孤独を感じたり、仲間はずれにされたりすることもあるのだが、そうしたネガティブな経験よりも得ることが多いというのが私の実感だ。

ぼくはエゴグラムの診断では自由な子どもが高い数値になる。現実、どちらかといえば自由に生きている。それでも、仕事はうまくやれている(はずだ)し、誰かに嫌われることもそんなにない。自分らしく生きることで失うことはあまりない。


生きづらさ脱却のためには、この”フリーチャイルドの解放”が重要なのだ。
自分に素直になって行動してみるということ。束縛から逃れること。



人生はなるべくしてなるように展開している

2017年2月9日木曜日

人材は能力開発だけではない!発達という新たな視点を考える

日々、人材開発のコンサルタントとして、教材開発から研修実施、コンサルテーションを行っている私ですが、最近注目しているのは、人材の”発達”という視点です。

構成主義的発達心理学という領域になりますが、これがまた非常に興味深い。発達を成し遂げることがすぐに幸福につながる訳ではないですが、発達段階の高いリーダーは、高い成果を出すことが、わかっています。(参考:『行動探求』




◆キーガンの発達の5段階

成人の発達心理学においては、アメリカンのロバート・キーガンという教授が有名です。氏は『人と組織はなぜ変われないのか?』を書いています。

キーガンの要諦はこうです。人の発達には5段階あるということ。

2段階 手段・道具的段階
3段階 他者依存段階
4段階 自己著述段階
5段階 自己認識段階

この段階が上がればあがるほど、広く高い視野で物事が見え、ジレンマを統合し、複雑な状況において最適解を見出すことができるそう。

個人的には、この人材の発達は、セルフ・エスティームという自己肯定感に密接に関連があると思っています。アダルト・チルドレンや愛着障害といった症状に悩まされている方にも適用でい、解決策を提示してくれる研究領域でもあると思います。


◆各段階の特徴

各段階の特徴を大まかにいってしまうと、

2段階 手段・道具的段階においては、自分自身の欲求を満たすために、他者を手段や道具としてみなします。他者の欲求を退けるのです。弱肉強食の価値観を持ち、職場では出世第一主義に動くような人のことです。

3段階 他者依存段階は、自分自身はこういう人間であるといった自己イメージを形成するために、組織や他者に依存します。つまり、他者に奉仕することによって、自己の存在意義を見出す傾向にあります。

4段階 自己著述段階は、組織や他者に依存せずに、自分自身の価値観を明確にできる段階です。この段階にきてようやく、他者を同僚や仲間、協力者とみなします。3段階においては、他者は自己イメージを明確化する手段としてみていません。しかしながら、自分自身の価値観に縛られており、その価値観と異なる価値観から学ぶことができません。

5段階 自己認識段階は、自分自身の価値観の限界に気づき、絶えず、自己を更新し続けます。そのため、他者は自分の考えを広げてくれる存在となります。適度に指摘を求め、自分自身の限界に敏感であることをよしとします。


◆自己肯定感が高くなければ、4段階より上の発達段階にたどり着けない

自己肯定感は自らの持論をつらぬく強さの土台です。自らを信頼し、揺るがず、他者に依存していないという意味で自立した存在ということになります。

そして、この精神的な自立なしに、4段階目の移行はありえません。”発達”という観点でも、やはり自己肯定感は大事なのですね。



人生はなるべくしてなるように展開している

2017年2月8日水曜日

自己肯定感を高める日記の効用

本当に久々になりました。
ライフ・レッスン・ログ。

ブログを書くのをやめてから、1年半。いろいろなことがありましたが、また定期的に更新していこうと思います。

今日は日記を書くことについてです。



◆日記を書くことが自己肯定感につながる

日記を書くことには、あとで過去を振り返るための自叙伝をつくることのほかに効用があります。

自分のことを考える時間が確保できることによって、自分の感情に気づくきっかけができたり、なぜ、そのような感情をもったのか、それが自分の生い立ちと何かしらの関係があったり、自分に対するアンテナが敏感になります。

この自分自身にアンテナが立っている状態は、つまり、ありのままの自分自身を認めてあげる行為であるとも言えます。自分を大切にするということにつながるということですね。ですから、日記を書くことはそのまま自己肯定感を高める作用があるということです。

私自身も、辛い出来事が重なったとき、よく書いてました。自分の心の整理、気づき、新しい自分を作っていくために。


◆現代人は自分を振り返らない

ですが、皆さん、ふりかえってみるとどうでしょうか?
自分のことをそのまま認めてあげる、または、一日を振り返り時間をどれくらいとっているでしょうか?

寝る寸前までテレビを見ている、スマホを見ている、電気を消したら即意識不明。といった感じで、多くの人が自分を振り返る時間を取っていないように思います。

ちなみに、すでにお亡くなりになられていますが、哲学者の今道友信氏は、現代人が自分を振り返らなくなったのは、”電気”が発明されたからであると言っていました。電気がない時代は、夕食を食べて日が暮れてしまったら、床について、今日一日を振り返ってから眠りについたそうです。それと比べるとどうでしょう?いかに、自分の振り返りをしていないか。


◆具体的にどのように日記を書くのか

自己肯定感を高めるための日記の書き方で、おすすめは次の3ステップです。

①何が起こったのか
②どのような感情をもったのか
③なぜその感情をもったのか

まず、今日1日で起こったのうち印象的な出来事を書き出します。事実をそのまま書き出していきましょう。

そして、それぞれの出来事が起こったときに、自分はどう感じていたかを考えてみましょう。嬉しい、悲しい、寂しい、楽しい、どんな感情でも構いません。このステップで重要なのは、書いているうちに、感情のご意見が自分の中で増えていくことです。感情をあらわす語彙をたくさん知れば知るほど、自分の感情に気づきやすくなっていきます。そして、そのまま感情を認めてあげることで、自己肯定感は高まっていきます。

最後に、ではなぜそのような感情をもつにいたったのかを考えてみます。人は思考の癖があって、同じような思考回路、同じような感情反応をしてしまいます。そして、その凝り固まった思考回路や感情反応がネガティブなせいで、生きづらさを感じている人はたくさんいます。

このように自分自身の思考回路や感情反応に気づくことで、ポジティブな物の見方・考え方を身につけるきっかけになっていくのです。

ぜひ、皆さんも習慣にしてみてください。


人生はなるべくしてなるよう展開している。






人生を決めているもの。住宅と街並みとぼくの視線から考える人生論。

  家づくりを検討しはじめて約2ヶ月。あれだけ回避していたローンのリスクを受け入れて、家を建てることに決めた。日本の一戸建ての寿命が30年のところ、90年もつ家を建てることを知ったのが大きなきっかけだった。90年もてば3歳の息子も死ぬまで住むことができるだろう。それならローンを組...