構成主義的発達心理学という領域になりますが、これがまた非常に興味深い。発達を成し遂げることがすぐに幸福につながる訳ではないですが、発達段階の高いリーダーは、高い成果を出すことが、わかっています。(参考:『行動探求』)
◆キーガンの発達の5段階
成人の発達心理学においては、アメリカンのロバート・キーガンという教授が有名です。氏は『人と組織はなぜ変われないのか?』を書いています。キーガンの要諦はこうです。人の発達には5段階あるということ。
2段階 手段・道具的段階
3段階 他者依存段階
4段階 自己著述段階
5段階 自己認識段階
この段階が上がればあがるほど、広く高い視野で物事が見え、ジレンマを統合し、複雑な状況において最適解を見出すことができるそう。
個人的には、この人材の発達は、セルフ・エスティームという自己肯定感に密接に関連があると思っています。アダルト・チルドレンや愛着障害といった症状に悩まされている方にも適用でい、解決策を提示してくれる研究領域でもあると思います。
◆各段階の特徴
各段階の特徴を大まかにいってしまうと、2段階 手段・道具的段階においては、自分自身の欲求を満たすために、他者を手段や道具としてみなします。他者の欲求を退けるのです。弱肉強食の価値観を持ち、職場では出世第一主義に動くような人のことです。
3段階 他者依存段階は、自分自身はこういう人間であるといった自己イメージを形成するために、組織や他者に依存します。つまり、他者に奉仕することによって、自己の存在意義を見出す傾向にあります。
4段階 自己著述段階は、組織や他者に依存せずに、自分自身の価値観を明確にできる段階です。この段階にきてようやく、他者を同僚や仲間、協力者とみなします。3段階においては、他者は自己イメージを明確化する手段としてみていません。しかしながら、自分自身の価値観に縛られており、その価値観と異なる価値観から学ぶことができません。
5段階 自己認識段階は、自分自身の価値観の限界に気づき、絶えず、自己を更新し続けます。そのため、他者は自分の考えを広げてくれる存在となります。適度に指摘を求め、自分自身の限界に敏感であることをよしとします。
◆自己肯定感が高くなければ、4段階より上の発達段階にたどり着けない
自己肯定感は自らの持論をつらぬく強さの土台です。自らを信頼し、揺るがず、他者に依存していないという意味で自立した存在ということになります。そして、この精神的な自立なしに、4段階目の移行はありえません。”発達”という観点でも、やはり自己肯定感は大事なのですね。
人生はなるべくしてなるように展開している