2015年6月2日火曜日

絶望の淵からみいだせるもの。 「ほんものの自己」のレッスン(1)

わたしたちは、日々、人生のレッスンを見過ごして生きています。時間にゆとりがある人は、「退屈だ、なにかおもしろいことないかな?」とぼやき、時間に追われている人は、立ちどまって考えることすらできていません。

人生には、まなぶべきレッスンがあります。そう言うわたしも、今こうした苦境に身をおくことがなければ、気づくことはできなかったでしょう。忙しさにかまけて、人生のレッスンを見過ごしてきた。今はそう思うことができます。

レッスンを学ぶことは成熟していくことにやや似ている。とつぜん幸福になったり、力がついたり、裕福になったりすることはないが、周囲の世界にたいする理解が深まり、自分自身とのおりあいがつけやすくなる。人生のレッスンを学んだからといって人生が完全なものになるわけではないが、そうなるはずだったような人生をみることには確実につながる。(19-20頁)

生きていてなにかむなしさを感じる。パートナーとの関係がマンネリしてきた。仕事にやりがいを感じることがすくない。子育てにつかれてしまった。わたしたちは、人生における停滞を感じたとき、そこには人生のレッスンがかくれています。そして、人生のレッスンを学んでいくことこそが、人生の充実につながるのではないか、そんな想いをつよくしています。

わたしたちは自分についてあたえられたレッスンを学ぶために地上に生まれてきた。しかし、「あなたのレッスンはこれだ」と教えることのできる人はだれもいない。それをみつけることが、人生という個人的な旅の一部なのだ。その旅の途上で、獲得すべき多くのものがあたえられることもあれば、ほんのすこししかあたえられないこともあるだろうが、その人の手にあまるほどのものがあたえられることはけっしてない。(20頁)

「ライフ・レッスン」をみいだすには、わたしたちのこころが世界にひらかれていなければなりません。意識的にみつけようとしていなければ、「ライフ・レッスン」は人生の終末にしかおとずれることはないのかもしれません。

喪失に直面したとき、われわれのクライアントたちは、重要なのは愛だけだったということに気づいた。じつは愛こそは、われわれが自由に御し、身につけ、もち歩くことができる唯一のものである。クライアントたちは「彼方」に幸福をもとめることを断念した。そのかわり、かれらは自分がすでにもっていたもののなかに、自分自身であることのなかに豊穣と意味をみいだす方法を学び、すでにある可能性を深く掘りさげる方法を身につけた。(21頁)

なにか大事がおきなければ、わたしたちは人生からのメッセージに気づくことができません。わたしたちは無意識にそうしたおとし穴にはまりつづける生き物なのかもしれません。わたしはひとつの愛を喪失しましたが、そうした大事がおこって、ようやく、人生からのメッセージに、あるいは、ほんとうの愛とは何かということに想いをめぐらすようになったのです。


どんな状況であれ、最悪の事態に直面したときに、人間は成長する。状況が最悪になったときにこそ、最良のものをみいだすことができる。そのレッスンのほんとうの意味がわかったとき、幸福で意味のある人生もみいだすことができるようになる。完璧ではないが真正の人生がみつかり、十全な生をまっとうすることができる。(22頁)

わたしとおなじように、もしあなたが人生の落ち目にあり、苦悩にさいなまれているなら、ぜひ、人生からのメッセージに心を澄ましてほしいと思います。厳しい苦難だからこそ、そこには強いメッセージがあるはずです。

悪いときはとことん悪い。もしかしたら、そうかもしれません。毎日毎日胸が締めつけられるような想いは誰もが経験したくないものです。

それでも、最悪がなければ最良も見いだせないということを心にとどめておきたいものです。白と黒ではわりきれない。それが、人生なのかもしれません。そして、わたしたちがまなぶべきレッスンにどのような態度をとるかによって、人生の意味はかわってくるのだ、と心にきざみたいと思うのです。


『ライフ・レッスン』〜人生に悩むすべての人へ〜

絶望の淵からみいだせるもの。 「ほんものの自己」のレッスン(1)

わたしがわたしらしくいること。 「ほんものの自己」のレッスン(2)

「いい人」はまやかしであり、にせもの。 「ほんものの自己」のレッスン(3)


人生を決めているもの。住宅と街並みとぼくの視線から考える人生論。

  家づくりを検討しはじめて約2ヶ月。あれだけ回避していたローンのリスクを受け入れて、家を建てることに決めた。日本の一戸建ての寿命が30年のところ、90年もつ家を建てることを知ったのが大きなきっかけだった。90年もてば3歳の息子も死ぬまで住むことができるだろう。それならローンを組...