2013年10月2日水曜日

学習者との共創環境をつくる①〜同志として学ぶ組織・人事コンサルティング〜

吉田松陰は松下村塾において「共に学ぶ同志」として教鞭をふるう、という教育スタンスをとっていました。

教育というとなんだか、教える者-教わる者という二項対立の構図が成り立ってしまいますね。これは、組織・人事コンサルティングも同じです。コンサルタントは先生として扱われます。こちらが料金を頂戴しているのにも関わらずです。

同志として学ぶコンサルティングは可能でしょうか。そして、そのニーズはあるでしょうか。今回はそんなことを考えてみました。

















【プラハラードの価値共創という概念】
プラハラードは2004年に出版した『価値共創の未来へ』において、「価値共創」というキーワードを提示しています。これは、製品やサービスを生み出してた企業→それを消費する消費者という構造から、企業と消費者がまさに価値を共創する時代にはいったことを主張した書籍です。

価値共創とは、
個々の消費者と有意義な(その消費者にとって有意義な)交流をし、その交流を通して価値を生み出していく営み
と定義されています。

もう少し具体的にその背景を追っていくと、
 技術の融合が進み、業界の垣根が低くなる一方で、消費者が情報武装して積極性を増し、ネットワークを介して互いに結び付きを強めている、事実だった。これらの動きに引っ張られるようにして、消費者は企業や価値創造プロセスへの影響力を強めている。その結果、企業と消費者の役割分担が曖昧になり、両者が価値共創に取り組み始めている。
とのことです。

これについては、ソーシャルメディアを思い浮かべてみるといいと思います。Twitterでは一日に何億ものつぶやきをし発言権を強めている一方、企業はその消費者の声をビックデータという形でマーケティングや問題解決に活用をしようとしています。ある企業では、本当に消費者との結びつきの中で商品開発を行っていると聞きます。

また、最近はやりのエスノグラフィーやデザインシンキングの視点においても「人間視点」というキーワードが頭に浮かびます。

要は企業の論理から消費者の論理が通用し、力を強めてきているということですね。


【組織・人事コンサルティングの実態】
組織・人事コンサルティングといえば、冒頭でも書いたように今でも企業中心の論理がまかり通っています。組織・人事コンサルティング会社の多くは教育研修という手法を使って売上をたてています。そこでは、コンサルタントが教壇にあがり、勝手に人事と話し合って決めた教育研修プログラムを粛々と行い、現場に活かされていないという理由で、またその研修対象者は非難の的になるのです。

ここに社員ひとりひとりの意思はあるでしょうか。

はい、まったくないと言っても過言ではないですね。

もちろん、学びたいことがあるなら勝手に学べる環境は整っています。ただ、組織に属している限り社員のひとりひとりはその場所での自己実現は願っている訳であり、経営もそこに対しての一定の責任は負わなければいけないと思います。

【できる限りの個々に適切な学習環境を】
何を言っているのだ、プラハラードが言っている「価値共創」は主にBtoCの場合に限ってだ!というみなさんの声が聞こえてきそうです。

もちろん、僕自身社員ひとりひとりがやりたいことを作ろう、一緒に価値を作るんだ!などとは言っていません。組織に属している以上、ある程度組織の論理にはめられてしまうことは確かでしょう。ひとりひとりが自由に仕事をして生きていけるのではあれば、皆が個人事業主や起業という手段を使って活き活きと仕事をしているはずです。

ただ、前回のブログでも書いたように、これからは「主体性」の時代だと思っています。だからこそ、最大限、社員の意向を尊重し、社員が必要としている学習を届けたいと思うのが僕の切なる願いです。

ちょっと長くなりました。

次回は同志として学ぶ組織・人事コンサルティングというものを考えていきたいと思います。

それではまた次回!

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