■対話がもつ驚くべき可能性と陥穽
対話は驚くべき可能性を秘めている。
やる気のないうつのサラリーマンを職場に復帰させるのも、学校に行けなくなった子供が再び学校に行くようになるのも。
その変化を媒介するのは対話なのだ。
しかし、対話は使い方を間違えると悪い結果にもつながる。
会社に行きかけたサラリーマンがまた会社に行けなくなったり。
対話の仕方ひとつ間違うだけで、簡単に起きてしまう。
その意味で、対話は諸刃の刃ということになる。
■対話の2つの役割
対話には大きくふたつの役割がある。
ひとつめが「安心感を高める」、ふたつめは「思考を練り、高める」ということである。
支援という場において、双方の安心感は欠かせない。そもそも、その安心感というものがなければ純粋な意味での支援を求めたり、与えたりすることはできない。
◼︎カール・ロジャーズのクライアント・センタード・アプローチ
カール・ロジャーズは、本人が自分自身の言葉で、自分が話したいように話してもらうことが、カウンセリングにおいて最も効果が高いことに気づいた。
これは、支援側にある人間は、意図を持った質問を行ったり、アドバイスをしたり、問題を突き止めようとしてはならないということ。
相手の言うことを受容するとともに、言葉を返すときも、相手が言ったことをそのままなぞり返してみたり、その話を要約してみせて、「あなたの言いたかったことはくゆうことですか」と本人に確かめる。
相手の想いや価値観を共有しない限り、相手の安心感は醸成されない。
■マズローの欲求段階説との関連
こう考えていくと、マズローの欲求段階説と近いところがあると思う。
相手の安全欲求が満たされていなければ、自己実現に向かう道程への支援をおこなうことはできない。支援関係にあっては、安心感を醸成できてはじめて、お互いが手を取り合って前進していくことができる。
■対話を通して支援をしたいと思っている人へ
責任感や支援者としてどうにかしてあげたい、という想いが強ければ強いほど、問題解決をしようとしてあげたり、アドバイスをしたくなるものだ。
話を聞いて共感してあげるということは、時には自分が意図したいことや問題解決に向けた道筋とは大幅にかけ離れた話に付き合うこともあるだろう。
ただ、ここをグッとこれえて相手の関心を共有してあげることが、今後の支援の質をずっと上げていく近道なのだ、と、カウンセラーや支援をしてあげたいと思う人は言い聞かせなければならない。
支援したくとも、相手が助けを必要としていないのでは、まるで意味がないのだから。
そして、相手がわたしたちを信頼し、心を開いてもいいのではないか、と思ってもらうために安心感を醸成することが必要なのだ。
カウンセラーや支援者は、「受動的に聴く」ということを「積極的に行動にうつす」ことが必須である。
思想を体現する。
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