結婚率や出生率の低下、離婚率の上昇、人口減少、子どもの虐待、ネグレクト、頻発する子どもの非行、うつ、依存症、摂食障害……。
こうした問題の根底にあるのは、愛着障害と呼ばれるものなのではないかと思い至るようになった。
生きづらさを抱えている人が増えているのではないかと思うのだ。
■愛着障害の人たちの生きづらさ
愛着障害を抱えた人たちは、端的に言えば、親にうまく育てられなかった人だ。
うまく人とやっていくことが苦手で、深い信頼関係を築くことができず、いつもどこかで孤独や自己不信感を抱えている。
親や配偶者でさえ当てにできす、本人は気づいていなくともその闇は深い。
なぜ、気ばかりつかってしまうのか。なぜ自分をさらけ出すことに臆病になってしまうのか。なぜ、本心を抑えてでも相手に合わせてしまうのか。なぜ、拒否されたり傷つくことに敏感になってしまうのか。なぜ、甘えたいのに意地を張ってしまうのか 。
そんな悩みを愛着障害の人は抱えている
■身近な人も悩んでいる愛着障害
成人でも3分の1の人が、愛着障害を抱え、また、カップルのどちらかが不安定な愛着スタイルを抱えている率も約50%とも言われている。
これだけ身近な苦悩でありながら、愛着障害は多くの人に認知されるものになっていない。
■気づかれない愛着障害
その理由は、配偶者など、深い関係にならなければ気づきにくいということと、本人が生きづらさを感じてても、その理由を本人自身も自覚していないケースがほとんどだから。
この問題は生活習慣病に近いと思う。気づかぬうちにその病は進行し、気づいた時にはもう末期の病に変貌を遂げている。
愛着障害は、若者の草食化、離婚率の上昇、女性の就業、少子化、シングルマザーの増加と貧困、様々な課題に関連づけられる。
この問題は、目に見えにくいものだからこそ、改めて注目していく必要性があると思う。
思想を体現する。